匂い

"顔が見えなければ、誰でも良いのでは?"

全身タイツフェチという性癖を打ち明けたとき、こう問われたことがある。

 

決してそんなことはない。一枚の布に愛おしい貴女が包まれている、同じ癖を分かち合っているというのが、たまらなく嬉しいのだ。

布に浮かび上がる表情、身体を重ね合わせたときの柔らかさ、ぬくもり、声。そして、布の内側から染み出る匂い。

特に匂いというのは、強烈なイメージとして貴女に結びつくのだと思う。

首筋、脇の下etc...

湧き上がる貴女の匂いを、僕の内部にまで染みこませよう。

貴女は恥ずかしがるだろうか。それとも、嬉々として身体を押しつけるだろうか。

そのどちらでも嬉しいのだ。

離れているときでも、着ていないときでも、貴女の匂いを嗅いだとき、あの日の快楽を思い出せるように。

貴女が脱ぎ捨てたパンストに、ゼンタイに包まれて、繭のようになってみたい。

貴女にも同じように、僕の匂いに包まれて繭になって欲しい。

生まれ出る欲望は、どんな姿をしているのだろうか。