深海の光

フェチの世界は深い。

僕が常々感じていることである。

フェチ、という広い世界の中に、個々人が独自の世界を持っていて、それぞれが淡い光を放っている。

僕はそれを、浅瀬でのぞき込んでいるだけなのだ。

その光は美しくもあり、恐ろしくもある。だが、大変に魅力的だ。

このまま眺めているだけで満足だ、と思う自分もいれば、一緒に泳ぎたいと思う自分もいる。

浅瀬にいるだけの自分が一緒に泳ぐことで、その美しい光を消してしまうことにならないだろうか、そう思う自分もいる。

それは、深みに潜ることが出来ずにいる自分の、臆病者の我が身かわいさ故の言い訳だとも思う。

 

いつか縁あって、深海から手を差し出されたときに、僕はその手を取ることが出来るのだろうか。

ともに泳ぐ者になることが、出来るのだろうか。

いまだ、答えは出ないでいる。